貴重な写真やポスターを生かした、“見る記念誌”。
会議室の壁に沿ってずらりと並んだ約50個の段ボール箱を一つ一つ開けることから、記念誌作りはスタートしました。「資料はあります。整理からお願いすることは可能ですか」と依頼を受け、2016年8月から2人の担当が月3回ペースで約5カ月間、マスクとお手ふき持参で70年間の歴史資料と向き合いました。いざ始めてみると、まるで宝探しのような楽しい時間に。マーガリンを製造していた1950年代の箱からは、ちんどん屋がコミカルにPRする写真をはじめ、ポップなデザインと色使いのリーフレット、放映されたテレビCMのフィルムなど、“お宝”が見つかりました。
これらの貴重な資料類を生かすために提案したのは、ビジュアルを重視した“見る記念誌”です。「文字だらけでは読まない。とはいえ、どういうものがいいのか」と内容について悩んでいた担当者の方には、「今の社員が知らないような写真や販促物を載せるのは面白い」と即座に同意いただき、方向性がまとまりました。歴史をたどるページについては、創業者の自伝と会長さん、社長さんの聞き取りを軸に簡潔な文章にまとめ、各時代の象徴的な写真や販促物等をふんだんに掲載。さらに「六甲山Q・B・Bチーズ館」を描き下ろしイラストで紹介するコーナーなど、自分たちが読んで、見て、楽しいと思える記念誌を目指して、どんどんアイデアを広げていきました。
もう一つ、メーカーならではの記念誌とするために実現させたかったのが、創業時からの商品を紹介することでした。ちょうど営業部門で商品年表を作りつつあると耳にし、それをベースに作成しようと考えました。ベビーチーズ、6P、スライスなど7つの種類別に、商品パッケージの切り抜き写真で時代の変遷をたどる「商品ヒストリー」のコーナーが完成し、読者の皆さんに懐かしさや楽しさ、さらに話題のタネを提供することができました。 資料編に掲載した「六甲バターフィロソフィ」には、「地域社会とのつながりを大切にする」という項目があり、それは同社が創業時から大切にしてきた思いです。弊社にお話を頂いたのも、地元神戸の企業だったことが理由の一つでした。完成品を前にして、その気持ちに少しは応えることができたのではと自負しています。
仕様:B5判144ページ、上製本(表紙:スミ箔)、貼り函付き
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